◇出向社員に対する社会保険料の負担◇

Q.当社は、関係会社に出向している従業員が何名かおりますが、出向者の  
給与につきましては、全額出向先法人が負担しておりました。ところが最  
近、出向先法人の経営状況が悪化してきており、その対策として当面の間、  
出向社員に係る社会保険の事業主負担額を当社にて負担し、福利厚生費と  
して処理しようと思っていますが、このような処理は税務上認められるで  
しょうか。

A.出向とは、出向元法人の従業員である身分を保有しながら、出向先法人  
で勤務する雇用形態をいいます。出向元法人である貴社と出向社員との間  
では、雇用契約が継続しており、税務上も出向者に対する一定の給与の較  
差補てんを認めているところです。
 
しかし、社会保険の事業主負担は、実際の労務提供と直接的な関連性を有  
しており、本来的には労務の提供を受けている出向先法人がそれを負担す  
るべきものです。
 
また、ご質問から察すると、出向先法人の経営状況が悪化したための措置  
ということであり、このような負担は出向元法人である貴社にとっては、  
出向先法人に対する寄付金になり、福利厚生費処理は認められないと思わ  
れます。つまり、税務上損金とは認められず寄付金課税ということになる  
でしょう。

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このQ&Aに関する法的根拠や罰則は・・・
■根拠条文等  
⇒法人税基本通達9-2-47(出向者に対する給与の較差補てん)

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